月別アーカイブ: 2014年4月

第3子誕生!

先週の水曜日 我が家に第3子が産まれました。
緊急帝王切開での出産となりましたが、母児ともに順調で本日退院となりました。

奥様も赤ちゃんも元気で過ごしています。
分娩の日の緊迫した感覚も過去のことになりつつあります。
お産は命がけとよくいいますが他人ごとではないと改めて思いました。
少し思い出しながらその日の様子を書いておきます。

3月27日
妊婦健診で赤ちゃんの体重が2週間前と比べてほとんど増えていないことがわかりました。
母体の中にいても体重が増えていないのであれば早くだした方が安全だろうとのことで速めの出産のために翌日から入院することになりました。
入院したからといって都合よく自然陣痛がきてくれるはずもなく陣痛促進剤を使っての出産となりました。

4月2日
午前の診療を終えて2時に病院に駆けつけました。
奥様は陣痛促進剤の点滴を受けおり、赤ちゃんの心拍を計測するモニターを付けられていました。
聞いたところでは午前中に1回赤ちゃんの心拍が60くらいに低下して(通常150くらいです)少しあわてたということでした。
話を聞いていると助産師さんがやってきて”まだ陣痛が弱いので少し速めますね~”と陣痛促進剤の点滴を速めていきました。
その後少し陣痛が強くなったようでした。
30分くらいたった頃急に赤ちゃんの心拍が60程度に低下しました。
すぐに助産師さんがやってきて奥様の体の向きを変えたりお腹の張りを確認したりしていますが、なかなか元に戻りません。
1分ほどしてようやく元の150に戻りました。
連絡を受けたドクターがすぐにやってきてその時の状況確認やお腹の診察をしています。
産科のことは詳しくありませんがただごとではないことがその場の雰囲気からわかりました。
ひとまず点滴を継続して様子を見ることになりました。
しかしその後も同様の心拍低下が何度もありました。
主治医のドクターから”今日の陣痛促進剤は中止してまた明日頑張りましょう”との説明がありました。
そして陣痛促進剤をやめた直後から陣痛はピタッととまり、赤ちゃんの心拍も150で安定し穏やかな雰囲気に戻りました。

4時頃に朝から待機してくれていた奥様のお母さん おばさん 従妹は帰っていき、部屋には私と奥様の2人だけになりました。
この時には私はもう自然分娩はあきらめた方がいいと思っていました。
分娩はまだまだ始まったばかりです。
明日分娩を進めればもっと危険な状況が何回もやってくるような気がしました。
取り返しのつかない事態も想定しなければならない気がしました。
そのリスクを回避するには帝王切開という方法があります。
奥様のお腹を開腹して直接赤ちゃんを取り出す方法です。
ですが自分のお腹を開けるわけではないので奥様に尋ねてみました。
”明日もう一回陣痛促進剤使うの危ない気がするんだけどどう思う?”
”そうだね~ そんな感じだね~”
奥様も危険を感じているようでした。
”帝王切開にしてもらった方がいいと思うんだ”
切り出してみました。
”赤ちゃんのためにはしょうがないね~”
おそらく奥様も同じことを考えていたのでしょう。
結論はすぐに出ました。

6時頃に主治医のドクターがエコーをしてくれたので同席して見させてもらいました。
へその緒が赤ちゃんの体に巻きついていて子宮が収縮するときに血液の流れが悪くなっている可能性がある、との事でした。
この時にリスクを回避するためなら帝王切開を躊躇しないでほしい意向を伝えました。
主治医のドクターは帝王切開での出産を希望していることを理解してくれました。
明日の朝もう一度エコーをしてから最終決定しましょう、ということでこの日は病室へ戻りました。 点滴をやめた後は赤ちゃんの心拍は安定していたのでモニターをはずしてもらい、奥様も身動きできるようになりました。
私は病室に泊まる準備をしてきていたので(長男の時には陣痛から誕生まで4日 次男の時には2日かかっています 今回も長期戦を覚悟していました)一緒に夕食を食べ、テレビをみたりまだ決まっていない子供の名前を考えたりしていました。
長男が生まれて以降久しぶりに夫婦2人だけで穏やかな夜を過ごしていました。

8時半頃だったでしょうか
助産師さんが”1回モニターつけて赤ちゃんの状態を確認しておきますね~。”とモニターを装着していきました。
今思えばこのモニターをしてもらってよかった。
このモニター以降 事態は急変し緊急帝王切開へ進んでいくことになりました。

3時半頃に陣痛促進剤の点滴を中止した後は奥様の陣痛は完全にとまっていました。
それと同時に赤ちゃんの心拍が下がることはなくなり6時過ぎにモニターをはずしておりました。
2時間半ほどモニターなしで過ごしていました。
まあ何もないだろうと安心していたのですが、モニターを装着されるとやはりモニターに注目してしまいます。
10分ほど何もなかったのですが、急に赤ちゃんの心拍が60まで低下しました。
奥様はあれっという感じで体位を変えたりしていましたが、なかなか戻りません。
私はそばにおいてあった酸素マスクを奥様に装着し、酸素流量を最大限の10Lに設定しました。 赤ちゃんに酸素を届けるためには奥様がたくさん酸素を吸う必要があるのです。
1分ほどして心拍が150に戻りました。
その後数分して助産師さんがやってきました。
”お腹が張りました?”
”いえ、全然張っていません。”
助産師さんは奥様のお腹を触っています。
おそらく子宮の張りを確認しているのでしょう。
”心拍は戻っているので様子を見ましょう。水分を取らないようにしてくださいね。”と帰っていきました。
”水分を取らないように”という指示は緊急手術の可能性を考慮しているのだろうと思いました。
その後も10分ほどの間に2回心拍低下を繰り返しました。
3回目の心拍低下のときは低下した直後に助産師さんがやってきました。
赤ちゃんの心拍は下がっていますが、お腹は張っていません。
モニターにも心拍低下は記録されていますが、奥様のお腹の張りは記録されていませんでした。
助産師のいとこが言っていたことを思い出していました。
子宮収縮と同時に心拍が低下し、収縮がおさまってすぐに心拍が戻るのは赤ちゃんの迷走神経反射といって特に問題ないようです。
子宮収縮から遅れて心拍が低下するのは赤ちゃんが酸欠状態になっている可能性があるので危険な状態のようです。
現在起こっていることは子宮が収縮していないのに赤ちゃんの心拍が繰り返し低下しているのです。
特に外的要因がないのに心拍が低下してしまっているということです。
赤ちゃんに危険が差し迫っている気がしました。
私は助産師さんに帝王切開をするべきじゃないかとドクターに伝えて欲しいと言いました。
産科当直医はすでにナースステーションまで駆けつけてきており、このモニターをみているとの返事でした。
私は少し安心しました。
助産師の報告と私の意向から帝王切開に踏み切ってくれるだろうと思いました。
その後も周期的に心拍が低下します。
奥様は少しでも赤ちゃんに酸素が届くように酸素マスクをつけて深呼吸しながら体位変換を繰り返していました。
私は何もできずジリジリした時間を過ごしていました。
どれくらい時間がたっていたのか覚えていませんが、陣痛室へ移動になりました。
それが意思決定の合図であったかのようにそこからは処置がどんどん進んでいきました。
まず若いドクターがやってきて帝王切開の意向の確認をしていきました。
入れ替わりで助産師さんがやってきて奥様の着替えと術前処置が始まりました。
その間少し退室していたのですが、戻って話をしていると助産師さんが再びやってきて”これから手術室へ移動します”と言いました。
奥様が心の準備をする暇もないほどでしたが、赤ちゃんの心拍低下はずっと続いています。
一刻も早い方がいいのは明らかでした。
奥様は落ち着いて車いすに移り、私が車いすを押して手術室まで移動しました。
手術室の前で”旦那さんはお部屋でお待ちくださいね”と言われ、ここから先は入れないのだと分かりました。
私はお腹に手を当てて赤ちゃんに”がんばれ!”と声をかけました。
それから奥様と手をつなぎ”がんばれ!”と声をかけました。
奥様が手術室の奥へ入っていくのを見送って病室へ戻りました。
病室に戻ったのは9時半過ぎだったと思います。

今までに1時間をこんなに長く感じたことはありませんでした。
10時半頃に部屋のピンポンが鳴り、”赤ちゃんが産まれたのでもうすぐ会えますよ”と言われました。
間もなく赤ちゃんが着いたと連絡があり、ドキドキしながら会いに行きました。
とても小さな赤ちゃんでした。
あまりに小さいので怖くて抱っこしたいとは言い出せませんでした。
目は開いていてフニフニと手が宙をかくように動いていました。
指やほっぺを少し触ってみて、無事で産まれた安心感が広がりました。
産まれた直後は状態が悪かったようで、初対面は3分ほどで終わり赤ちゃんはNICUへ移動になりました。

奥様が部屋に帰ってきたのは日が変わって0時過ぎでした。
胎盤の剥離をする際に出血が多かったので時間がかかったと後で聞きました。
その後2人でもう一度赤ちゃんと対面しました。
奥様は手術直後でストレッチャーに横たわったままなので抱っこはできませんでした。
この対面も3分ほどで終了しました。
この時は主治医のドクターが一緒に来てくれており、夜中に出てきて手術に入ってくれていたのだと分かりました。
へその緒がカバンのたすき掛けのように体に巻きついており、子宮収縮の時に血流が悪くなっていたんだろうと説明してくれました。

長男・次男の出産後はその夜病室に泊まって付き添っていましたし、さらに今回は帝王切開後でもあり、この日も付き添って泊まるつもりでした。
病院のスタッフに私が泊まる簡易ベッドの準備をしてほしいと伝えると”もう産まれましたし、赤ちゃんも安定していますので旦那さんは帰っていただいていいですよ~~”との返事でした。
病院スタッフにとっては術後の経過観察をするのに夫が泊まっていると邪魔なのだろうとすぐにわかりました。
目を向けると奥様もそれを察したようで仕方ないねという感じでうなずいていました。
病院を後にしたのは午前2時頃でした。
病院に到着した12時間前がはるか前の事のように思えました。

こうして真夜中の緊急帝王切開による出産は無事終わりました。
母児ともに順調で10日間で退院となりました。
頑張って3兄弟を育てていきます。
パパも育児に参加しますよ!

院長