よくある大腸の病気・症状

よくある大腸の病気・症状

感染性腸炎とは

ウィルスまたは細菌が感染することによって、腹痛・下痢・嘔吐・熱発などの症状が現れる疾患です。一般的に嘔吐と下痢の症状はウィルス性腸炎の方が強く、腹痛と熱発は細菌性腸炎の方が強いです。アメーバや真菌(カビの仲間)が感染することも稀にあります。

ウィルス性腸炎と感染性腸炎の診断

ウィルス性腸炎と細菌性腸炎の症状はいずれも腹痛・下痢・嘔吐・発熱です。症状が似ているため、問診と診察のみで正確に診断することは難しいです。細菌性腸炎の治療には抗生剤を使用しますが、ウィルス性腸炎の場合に抗生剤を投与すると無効であるばかりか治癒を遅らせることがあるため両者をできるだけ正確に診断することは適切な薬を選ぶために重要なことです。細菌性腸炎では血液中の白血球数やCRPや血沈に異常がでることが多く、診断の参考になります。

ウィルス性腸炎

ウィルスが胃腸に感染して嘔吐や下痢を起こします。潜伏期間は短く、ウィルスの侵入から数時間~2日程度で発症します。ノロウィルス ロタウィルス アデノウィルスなどが原因として有名です。

感染経路は?
人→人感染

感染者の吐物や便を触った手やその手で触れたものを介して口に入り感染します。また吐物が乾燥しそこからウィルスが空中に飛散しそのウィルスを吸い込むことで感染する場合もあります。

汚染された食品や水から感染

食品からの汚染で多いのは貝類による感染です。牡蠣などの2枚貝を生や加熱が不十分なまま食べることで感染します。

治療方法は?

ウィルスを積極的に退治する治療法はありません。治療の中心は脱水を防ぐためのこまめな水分摂取、腸管の安静、整腸剤の内服などの対症療法となります。ウィルスの種類によって治療法は変わりません。

水分摂取について

ウィルス性腸炎の場合は嘔吐と下痢のため脱水になりやすいです。このため水分摂取が重要になりますが、嘔吐した直後に水分を取るとさらに嘔吐を繰り返す場合があります。このような時は1~2時間あけて水分摂取を再開するとよいと思います。この時に一気に多量に飲むと再び嘔吐する可能性がありますので、10~20cc程度をちびちびと飲む“少量頻回“の方法で飲みましょう。”少量頻回“でも嘔吐する場合は医療機関を受診してください。

経口補水液について

体内で失われた水分や塩分などを速やかに補給できるように成分を調整した飲み物です。経口補水液には“経口補水液OS-1”や“アクアライトORS“などがあります。手に入らない場合はスポーツドリンクで代用するとよいと思います。

吐物や便の片づけは?

吐物や便で床が汚染された場合は感染が広がる恐れが高いです。片づけが終わるまではほかの人にうつさないようにその場から遠ざけましょう。

準備
  1. 処理する人はできるだけ使い捨てマスクと使い捨て手袋を着けましょう
  2. 消毒剤を準備 次亜塩素酸ナトリウム(商品名ミルトン)や家庭用塩素系漂白剤(商品名ハイター)
手順
  1. 吐物や便の上にぼろ布やペーパータオルなどをかぶせ、汚染が広がらないように周辺から中心へ向けて拭き取ります。
  2. 拭き取り後、薄めた消毒剤をしっかり浸すように床を拭き取り、その後水拭きします。
  3. すべてをビニール袋に入れ、口をしばって捨てる。

細菌性腸炎

細菌性腸炎は汚染された食品を食べることによって起こることが多く、夏場や特に注意が必要です。腹痛・下痢・熱発が起こります。下血を伴うこともあります。

カンピロバクター腸炎

細菌性腸炎の中で最も頻度の高い疾患です。鶏肉や牛肉の生食で感染することがあります。潜伏期間が1日~7日と幅があります。

サルモネラ腸炎

カンピロバクターの次に頻度の高い疾患です。生卵や鶏肉から感染することがあります。潜伏期間は半日~2日と比較的短いです。症状はカンピロバクター腸炎より強いことが多いです。

病原性大腸菌感染症

ベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌感染症は特に注意を要します。腹痛・熱発・下血の症状が現れます。抵抗力が弱い方は溶血性尿毒症症候群や脳症を引き起こし、重篤になることがあります。潜伏期間は3~5日です。 牛肉や豚肉の生食で感染することがあります。また少ない菌量で発症するため、人から人への感染も見られます。

治療方法は?

適切に抗生剤を使用します。その他はウィルス性腸炎と同様に水分摂取・腸管の安静・整腸剤の内服などです。

過敏性腸症候群とは

腹痛と便通異常(便秘・下痢)が長期間継続する状態が続いていて、レントゲンや内視鏡、便の検査では異常が見られない状態です。主な症状として、緊張などのストレスで腹痛が起こり、下痢や便秘を起こすというものがあります。病気ではないと誤解されている方が多いのですが、過敏性腸症候群は治療ができる病気であり、症状を緩和させ、解消していくことが可能です。
過敏性腸症候群は命にかかわる病気ではありませんが、日常生活にさまざまな支障を生じ、生活の質を低下させる可能性があります。適切な治療を受けて、快適な生活を取り戻しましょう。

過敏性腸症候群の特徴

  • 腹痛や腹部不快感が繰り返し起こって、排便により症状が改善する。
  • 発症した際には、排便頻度が変化する。
  • 発症時に、便の外観形状に変化がみられる

上記のような症状が過去3カ月間にわたり、繰り返し起こっている場合には、過敏性腸症候群の疑いがあります。この疾患は血液検査・レントゲン検査・内視鏡検査で異常を認めることはありません。しかし他の大腸疾患(潰瘍性大腸炎や大腸がん)ではないことを確認する必要があるため、検査を行う必要があります。

過敏性腸症候群の症状

代表的な症状に、腹痛と便意が起こり、排便後は一時的に症状が治まる傾向があります。睡眠中には症状が現れないことも大きな特徴になっています。症状が起こるきっかけは、緊張などのストレス、食事などがあります。便通異常には、下痢型と便秘型があり、下痢と便秘を繰り返す交代型もあります。
腹部膨満感、お腹が鳴りやすい、おならのコントロールがうまくできないといった症状や、消化器以外にも疲労感や集中力の欠如、頭痛などの症状が現れるケースも珍しくありません。

過敏性腸症候群の原因

内因性として腸内細菌や食べ物、ストレス、外因性として粘膜の炎症や遺伝などが指摘されていますが、はっきりとした原因はまだわかっていません。
腸内細菌や食べ物、ストレスといった内因性の問題をきっかけに、腸の働きをコントロールしている自律神経がバランスを崩して腸の蠕動運動に障害を起こしていると考えられています。蠕動運動が活発になり過ぎれば下痢を起こしますし、活動が鈍くなると便秘になります。
そして、下痢や便秘といった便通異常を繰り返すことで腸が刺激に対して過敏になり、症状が強くなってしまう悪循環につながります。
また、緊張や不安といったストレスだけでなく、過労、睡眠不足、不規則な生活、食習慣の乱れは蠕動運動に影響を与えます。検査で腸に病変がないとわかることも「難しい病気かもしれない」というストレスからの解放につながります。便通異常が続くようでしたら、お気軽にご相談ください。

過敏性腸症候群の治療

内視鏡検査で他の消化器系の病気による病変がないないと確認できたら、過敏性腸症候群と診断されます。当院では楽に受けられる内視鏡検査を行っていますので、安心していらしてください。

治療は、現れている症状やその強さによって変わります。患者様のライフスタイルやお考え、症状の出方や強さなどにきめ細かく合わせて、薬物療法や漢方治療、生活習慣改善などから最適な治療法を選択していきます。

薬物療法

腸内細菌叢を整える薬剤、腸管の動きを調整する薬剤、便の硬さを調整する薬剤、腸の過敏性を改善する薬などを用います。また、ストレスによる不安を抑える薬も使用することがあります。

生活習慣改善

下痢の症状がある場合、水分をたっぷり補給しないと脱水につながります。ただし、冷たいものは刺激が強く下痢になりやすいので、温かいものをゆっくり、たくさん飲んでください。
便通は食事に大きく左右されます。便秘型はもちろんですが、下痢型や混合型の場合にも食事習慣や内容の改善は大きく役立ちます。タイプにかかわらず、バランスの良い食事を心がけ、食物繊維が多い食材を積極的にとり、水分をたっぷり補給することが重要です。また、腸内環境を整えるために、乳酸菌もとるようにしましょう。
また、3食を規則正しく食べるようにしてください。食事の時間が不規則になったり、朝食を抜いたりすると腸の働きに悪い影響が出ます。
唐辛子などの香辛料、アルコール、脂肪などは過剰に摂取しないようにしてください。できればタバコも控えましょう。
ストレスの解消については、睡眠をたっぷりとって、起きたら朝日をしっかり浴びてください。バスルームをリラックスできる空間にして、毎日10分だけそこでゆったり過ごすようにすることもおすすめできます。
ストレス解消しようとがんばってしまうと逆効果ですから、無理なく楽しめる範囲でストレスをじょうずに解消してください。

潰瘍性大腸炎とは

はっきりとした原因がまだわかっておらず、治療で治まっても再び症状が現れる再燃を繰り返して進行する病気です。長期間の適切なコントロールが必要であることから、厚生労働省の特定疾患に指定されていまです。
潰瘍性大腸炎は、肛門・直腸の粘膜から炎症がはじまり、口の方向に向かって炎症が徐々に広がっていくという特徴を持っています。炎症の範囲が広くなると症状の改善が難しくなっていくため、早めの治療が重要です。病変がある場所によって直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型に分類されます。発症のピークは20歳代ですが、幅広い年齢の発症がみられ、性別による偏りもありません。日本の患者数が最近、増えてきています。
適切な治療を受ければ症状は改善します。ただし、再燃させないために症状のない時にもしっかりコントロールを続けないと進行してしまい、治療が難しくなっていきます。また潰瘍性大腸炎の炎症が持続すると大腸ポリープや大腸がんの発生が増えることが分かっています。

潰瘍性大腸炎の症状

潰瘍性大腸炎は症状が出現している活動期と症状が比較的落ち着く寛解期を繰り返しながら、長い時間をかけて進行していきます。

初期症状
  • 下腹部の違和感・腹痛
  • 下痢
  • 便に血や粘液が混ざる
進行すると

進行すると、便に粘液や膿が混じり、発熱や腹痛、体重減少、貧血、脱水などのさまざまな症状が現れます。適切な治療を受けずに放置してしまうと大腸の機能(便の水分吸収や便の形を作る)が失われてしまいます。最終的には全大腸を切除しなければならない状態に至ります。 その状態に至らないようにするために、寛解期も適切な治療を続けることが不可欠です。

潰瘍性大腸炎の診断

潰瘍性大腸炎のためには内視鏡検査が必須の検査となります。内視鏡によって粘膜の状態を観察し、病変の組織を採取して顕微鏡で確認することにより確定診断となります。

潰瘍性大腸炎の治療

残念ながら潰瘍性大腸炎には完治できる治療がまだありません。腸の炎症を抑える薬剤がありますので、それを使って炎症を解消していきます。治療では炎症を抑えて寛解期に導き、再び活動期にならないようにしていくコントロールを行います。特に寛解期にしっかり治療を続けることが重要です。

使用する薬剤
5-ASA製薬

リアルダ・アサコール・ペンタサといった大腸の炎症を抑える薬が治療の基本となります。大事なことは炎症が収まった寛解期にも次の炎症活動を予防するために治療を継続することです。

副腎皮質ステロイド薬

炎症を抑える効果が高いため、重い症状がある場合に用います。長期に使用すると副作用が問題になるため軽い症状や再燃予防には使われません。

抗TNFα受容体拮抗薬

自己免疫疾患に使われる薬で、免疫を調整して炎症反応を抑えるため、潰瘍性大腸炎でも効果が期待できます。点滴や皮下注射に使われます。この治療を受けるためには入院が必要になります。そのため、この治療が必要になった場合には連携している医療機関をご紹介しています。

免疫調節薬・免疫抑制薬

ステロイド薬が無効、あるいはステロイド薬中止により悪化の可能性が高い場合に用いられます。この治療を受けるためには入院が必要になります。そのため、この治療が必要になった場合には連携している医療機関をご紹介しています。

血球成分除去療法

薬物療法ではなく、血液中から異常に活性化した白血球を除去します。活動期に用いられるケースが多い治療法です。この治療が必要になった場合には連携している医療機関をご紹介しています。


下痢

急に起こる下痢

急性の下痢は感染性腸炎のことが多いです。原因はウィルスの場合と細菌の場合があります。ウィルス性の下痢の場合には抗生剤は無効であるばかりか下痢が長引く原因となります。細菌性の下痢の場合には抗生剤を内服して治療を行います。いずれの場合にも水分摂取をしっかりと行い、脱水症を起こさないように注意が必要です。

感染性腸炎はこちら

長く続く下痢

長く続く下痢は小腸や大腸の疾患によって現れることが多いです。潰瘍性大腸炎やクローン病 大腸がん 過敏性腸症候群などが考えられます。下痢が2週間続いた場合は長く続く下痢と考えて受診することをお勧めします。

潰瘍性大腸炎・クローン病

下痢が長く続き、炎症を伴う慢性の病気の代表的疾患が潰瘍性大腸炎とクローン病です。潰瘍性大腸炎は大腸に慢性的な炎症が起こる病気です。クローン病は口腔から肛門周囲までの消化管のどの部位にも炎症や潰瘍が起こることが特徴の病気です。特に大腸や小腸に炎症ができることが多いといわれています。炎症の程度により症状は異なりますが、長期間下痢や腹痛が続いたり、発熱したり、血便が出たりすることがあります。

潰瘍性大腸炎はこちら

大腸がん

大腸がんは初期の段階では症状が現れにくい病気です。がんが進行すると、便秘気味になったり下痢と便秘を繰り返したりする、便に血が混ざる、便が細くなる、体重が減少する、といった症状が現れることがあります。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群にかかると急な腹痛に悩まされたり、お腹の張りが続いたり、定期的に便秘と下痢を繰り返したりすることがあります。検査をしても異常が認められません。症状の出方は患者さんによって様々です。また症状が強い日や軽い日があるなど変動があります。排便すると症状が少し治まることが多いです。原因としては精神的ストレスが引き金になっていることが多いです。ストレスの解消や生活習慣の改善のみで解決することもありますし、薬物療法を行うこともあります。

過敏性腸症候群はこちら

便秘

便秘も多く出会う症状です。多くの場合は機能性便秘という大腸や直腸の動きが乱れて起こる便秘です。大腸がんなどほかの疾患が原因で起こる場合もあります。便秘のせいで腹痛を伴っていることも多くあります。実は“私便秘で困っています“と言って来院される方は多くありません。”私腹痛で困っています“と来院されることのほうが多いです。便秘の診断と解決方法は消化器内科の力を発揮する場面の一つだと考えています。

機能性便秘

最も多いタイプの便秘症です。弛緩性便秘といって大腸を動かす筋肉の動きが弱くなって便が運ばれにくくなることによって引き起こされることが多いです。

大腸がん

大腸がんが大きくなると、腸管の内腔が狭くなったり、蠕動運動がうまくいかなくなったりして、便秘の症状を起こすことがあります。肛門に近い直腸やS状結腸のがんでは通貨障害の症状が起こりやすいです。反対に上行結腸や横行結腸など肛門から遠い場所では便はまだ液状~泥状のため通過障害の症状が出にくいです。

薬剤性便秘

薬剤の中には便秘を起こしやすい薬剤があります。抗うつ剤や抗コリン剤などは便秘を引き起こしやすい薬剤ですが、原病の治療のために中止できないことも多く、下剤の併用を行うことがあります。 またセンナや大黄やプルゼニドやラキソベロンなどの腸管の運動を促進するタイプの刺激性下剤を長期間使用していると、効きが悪くなったり下剤を飲まないと便が出なくなったりして困ることがあります。刺激性下剤の運動促進刺激によって本来大腸を動かすべき神経が麻痺しているものと考えられています。慢性の便秘には非刺激性の下剤を定期的に内服し、それでも出ないときに刺激性下剤を使用するのが正しい使用方法です。旅行に行って便秘になった場合やストレスで便秘になった場合など急性便秘の場合には刺激性下剤が良い適応です。

過敏性腸症候群

便秘型過敏性腸症候群になると慢性の便秘の症状が出現します。

過敏性腸症候群はこちら

下痢と便秘を繰り返す

下痢と便秘を繰り返す場合は過敏性腸症候群の可能性があります。大腸がんや潰瘍性大腸炎などで下痢や便秘を繰り返すこともあるため注意が必要です。

便通に異常が見られた場合は様々な疾患が考えられます。大腸がんや潰瘍性大腸炎やクローン病など重篤な疾患や特殊な治療を要する難病も考えられます。便通異常が2週間以上続いた場合は一度受診して診察を受けることをお勧めします。

血便とは

おしりから血が出ることを総称して下血と呼びます。出た血の色によって肛門からのおよその距離が推定できます。鮮やかな赤に近いほど肛門に近く、黒っぽいほど肛門から遠い、と推測することができます。おしりから血が出た場合は重篤な疾患の可能性も考えられますのでまずは来院してください。また出血の量と病気の重症度は関係ないことが多いため、少量の出血であっても来院してください。

血便の原因

大きく3つにわけることができます。

  • 痔核・肛門出血
  • 腸の炎症
  • 腸の腫瘍
痔核(いぼ痔)・肛門出血(切れ痔)

便に鮮やかな血液が付着する他、ペーパーに血液が付着する、排便後に出血が起こる場合もあります。出血量は切れ痔では少なく、いぼ痔では大量になるケースがあります。便秘を伴うケースはありますが、発熱や下痢などが起こることはありません。他の症状として、痛みや違和感があります。特に切れ痔では排便時に強い痛みが生じます。早期の適切な治療でいぼ痔や切れ痔は楽に治ります。再発を防ぐために便通を改善する生活習慣を身に着けることも重要です。

感染性腸炎

細菌、ウイルスに感染して起こる出血性大腸炎であり、血便を起こすのは細菌によるものが多くなっています。血便以外に、下痢、発熱、腹痛、悪心、嘔吐などを伴います。治療は輸液や抗生剤の服用です。

虚血性腸炎

大腸に血液を送る動脈が狭窄や詰まりを起こして発症します。糖尿病をはじめとする生活習慣病があると動脈硬化が起こりやすく、高齢者に多い病気になっています。急に症状が現れる傾向があり、主な症状はお腹の左側の強い痛みと痛みの後にでる血便です。

大腸憩室症

大腸憩室症では大腸にポケットのような袋ができます。大量に憩室ができる場合もあります。大腸憩室症自体は症状がありませんが、中に便などが入って炎症を起こすと出血して血便を起こす場合があります。但し高血圧の方や、抗凝固剤等の血が止まりにくくなる薬を内服されている方は出血量が多くなることがあるため注意が必要です。

潰瘍性大腸炎

治療で症状がなくなっても、再燃して進行する病気です。そのため、症状のない時期にも長期に渡って内科的な治療を受けてコントロールする必要があります。初期には便に血が混じる、下痢などの症状があります。進行すると便に粘液や膿が混じり、赤いゼリー状の便が出る場合もあります。他の症状には、発熱、腹痛、体重減少、貧血などがあります。

潰瘍性大腸炎はこちら

大腸がん 大腸ポリープ

大腸に腫瘍ができる病気です。腫瘍が大きくなり、組織がもろくなってくると出血し、便に付着していることに気づくことがあります。出血量は必ずしも多くはありませんが、放置すると進行して命にかかわる可能性があるため注意が必要です。

血便の診断

血便を引き起こす疾患は多数あります。出血の原因を特定することがとても重要です。
血液検査、腹部CT検査 大腸内視鏡検査などが原因診断のために有用です。出血というゆっくりしていられない症状が出現していますので、速やかに結果を得られる検査法を選んでいきます。
こうした検査結果をもとに診断し、適切な治療を行っていきます。

便潜血陽性とは?

便潜血陽性とは採取した『便の検体の中に血液が混ざっている』ということです。通常は食べ物が消化され、便として排泄される過程で血液が混ざることはありません。便に血液が混ざっているということは『便が通過する際に接触した大腸に病変があるかもしれない』ことを意味します。出血が多ければ、肉眼で見える場合もありますが、出血が微量だと肉眼ではわかりません。そこで便を採取し、出血の有無を詳しく調べる検査が便潜血検査です。

検診に便潜血検査を行う理由

大腸がん検診でまず行われるのは便潜血検査です。実は便潜血検査の精度は高くないのですが、体に負担がかからない楽な検査であることと、検査の費用が安いため大勢の方の初期検査に向いています。がんのリスクがある方全員が毎年内視鏡検査を受けることは検査の負担やコストを考えると効率が悪いのです。40歳以上の男女は毎年便潜血検査を受けるように推奨されています。

便潜血が陽性となった場合に考えられる疾患

大腸がん 大腸ポリープ 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎 クローン病)などの大腸の疾患 胃がん 胃潰瘍 十二指腸潰瘍など胃や小腸の疾患の場合に陽性となる場合もあります。 痔などの肛門疾患でも陽性となります。

便潜血検査の精度

便潜血検査は精度の高い検査ではありません。便潜血陽性になる方は1000人中50人ほどです(約5%)。さらにそのうち3%の方が進行大腸がんと診断されます。20%の方に大腸ポリープが見つかります。 便潜血陽性だからといって必ず大腸がんがあるわけではありません。逆に便潜血陰性だからといって絶対に大腸がんがないとも言えません。現時点でいえることは便潜血陽性となった方は陰性となった方と比較して約20倍大腸がんの可能性が高いということです。つまり便潜血検査は大腸がんの可能性が高い人を選び出している検査です。 陽性の場合、便潜血検査を再度行うことは全く意味がありません。進行大腸がんの方でも繰り返し便潜血検査を受ければ陰性の結果が出ることがあります。

便潜血陽性の場合はどうすればいいの?

便便潜血陽性の方は3%の確率で進行大腸がんにかかっている可能性があります。3%を低いと思われるでしょうか?高いと思われるでしょうか?3%の確率で進行大腸がんが疑われた場合は精密検査を受けなければならないと思います。3%という確率をおろそかにしてしまうと、大腸がんを発見するチャンスを失ってしまいます。きちんと診断するために速やかに大腸の精密検査を受けてください。大腸の精密検査は従来から大腸内視鏡検査が行われています。また最近では苦痛の少ない大腸CTで精密検査を受けることができます。当院では大腸内視鏡検査 大腸CTいずれの検査も可能です。患者様の希望や病状に応じて選択することができます。

痔の出血や月経の出血じゃないでしょうか?

便潜血検査は便中に含まれている人間のヘモグロビンを検出する検査です。痔の出血や月経の出血とがんから出た出血を見分けることができません。大腸がんの可能性を否定できない以上はきちんと精密検査を受けて診断する必要があります。そのような紛らわしい結果にならないために、痔がある方は採便の数日前から痔の手当てをしておくとよいと思います。また月経中の採便を避けるようにして下さい。

便潜血は毎年受けないといけませんか?

前提として便潜血検査は精度の高い検査ではありません。もしかしたらがんがあるのに陰性となっているかもしれません。毎年検査を受けることでがんがあるのに陰性になってしまった方もまだ助かる間に発見できるように毎年検査を受ける必要があります。

便潜血陰性の人は大腸の精密検査は不要ですか?

大腸がんの多くは大腸のポリープが大きくなるうちにポリープの表面から発がんします。大腸のポリープを小さなうちに切除している人と、放置している人では明らかに切除している人の方が大腸がんにかかりにくいです。発がんを未然に防いでいるものと考えられます。大腸のポリープは基本的に発見と同時に切除してしまうのはこのためです。小さなポリープは便が通過した際に血液が付着しないため、便潜血検査では調べることができません。したがって便潜血陰性の方も数年に一度は精密検査を受けて、小さなポリープが出現していないかどうかを調べておく方がよりよいと思います。

便潜血検査が陽性になったのでもう一度便潜血検査を受けたいのですが?

“精密検査を受けなくても大丈夫です。”と言って欲しいためにこの依頼をよくお聞きします。この気持ちは痛いほど分かります。大腸内視鏡は大変だと言うことを多くの方がご存知です。しかし消化器の専門医として再度の検便の依頼を受けることはありません。前述のように便潜血は大腸がんの可能性が高い人を選び出している検査であって、診断しているわけではないのです。便の状態は日々変わっていると思います。ある時はがんから出血していても、ある時は出血していないかも知れないのです。残念なことにこのような不確実な状態で放置している人が多いために日本の大腸がんの死亡数は上昇の一途をたどっています。大腸がんはきちんと毎年の便潜血検査を受け、陽性の場合にきちんと大腸の精密検査を受けて頂ければ、多くの方は救命できる疾患です。便潜血陽性となった方に対して専門医の一人として私にできる事は、できるだけ苦痛が少なく大腸をきちんと調べて差し上げる事 こう信じて診療しております。