便潜血陽性の場合の精密検査

便潜血陽性の場合の精密検査について

便潜血陽性とは?

便潜血陽性とは採取した『便の検体の中に血液が混ざっている』ということです。通常は食べ物が消化され、便として排泄される過程で血液が混ざることはありません。便に血液が混ざっているということは『便が通過する際に接触した大腸に病変があるかもしれない』ことを意味します。出血が多ければ、肉眼で見える場合もありますが、出血が微量だと肉眼ではわかりません。そこで便を採取し、出血の有無を詳しく調べる検査が便潜血検査です。

検診に便潜血検査を行う理由

大腸がん検診でまず行われるのは便潜血検査です。実は便潜血検査の精度は高くないのですが、体に負担がかからない楽な検査であることと、検査の費用が安いため大勢の方の初期検査に向いています。がんのリスクがある方全員が毎年内視鏡検査を受けることは検査の負担やコストを考えると効率が悪いのです。40歳以上の男女は毎年便潜血検査を受けるように推奨されています。

便潜血が陽性となった場合に考えられる疾患

大腸がん 大腸ポリープ 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎 クローン病)などの大腸の疾患 胃がん 胃潰瘍 十二指腸潰瘍など胃や小腸の疾患の場合に陽性となる場合もあります。 痔などの肛門疾患でも陽性となります。

便潜血検査の精度

便潜血検査は精度の高い検査ではありません。便潜血陽性になる方は1000人中50人ほどです(約5%)。さらにそのうち3%の方が進行大腸がんと診断されます。20%の方に大腸ポリープが見つかります。 便潜血陽性だからといって必ず大腸がんがあるわけではありません。逆に便潜血陰性だからといって絶対に大腸がんがないとも言えません。現時点でいえることは便潜血陽性となった方は陰性となった方と比較して約20倍大腸がんの可能性が高いということです。つまり便潜血検査は大腸がんの可能性が高い人を選び出している検査です。 陽性の場合、便潜血検査を再度行うことは全く意味がありません。進行大腸がんの方でも繰り返し便潜血検査を受ければ陰性の結果が出ることがあります。

便潜血陽性の場合はどうすればいいの?

便便潜血陽性の方は3%の確率で進行大腸がんにかかっている可能性があります。3%を低いと思われるでしょうか?高いと思われるでしょうか?3%の確率で進行大腸がんが疑われた場合は精密検査を受けなければならないと思います。3%という確率をおろそかにしてしまうと、大腸がんを発見するチャンスを失ってしまいます。きちんと診断するために速やかに大腸の精密検査を受けてください。大腸の精密検査は従来から大腸内視鏡検査が行われています。また最近では苦痛の少ない大腸CTで精密検査を受けることができます。当院では大腸内視鏡検査 大腸CTいずれの検査も可能です。患者様の希望や病状に応じて選択することができます。

痔の出血や月経の出血じゃないでしょうか?

便潜血検査は便中に含まれている人間のヘモグロビンを検出する検査です。痔の出血や月経の出血とがんから出た出血を見分けることができません。大腸がんの可能性を否定できない以上はきちんと精密検査を受けて診断する必要があります。そのような紛らわしい結果にならないために、痔がある方は採便の数日前から痔の手当てをしておくとよいと思います。また月経中の採便を避けるようにして下さい。

便潜血は毎年受けないといけませんか?

前提として便潜血検査は精度の高い検査ではありません。もしかしたらがんがあるのに陰性となっているかもしれません。毎年検査を受けることでがんがあるのに陰性になってしまった方もまだ助かる間に発見できるように毎年検査を受ける必要があります。

便潜血陰性の人は大腸の精密検査は不要ですか?

大腸がんの多くは大腸のポリープが大きくなるうちにポリープの表面から発がんします。大腸のポリープを小さなうちに切除している人と、放置している人では明らかに切除している人の方が大腸がんにかかりにくいです。発がんを未然に防いでいるものと考えられます。大腸のポリープは基本的に発見と同時に切除してしまうのはこのためです。小さなポリープは便が通過した際に血液が付着しないため、便潜血検査では調べることができません。したがって便潜血陰性の方も数年に一度は精密検査を受けて、小さなポリープが出現していないかどうかを調べておく方がよりよいと思います。

便潜血検査が陽性になったのでもう一度便潜血検査を受けたいのですが?

“精密検査を受けなくても大丈夫です。”と言って欲しいためにこの依頼をよくお聞きします。この気持ちは痛いほど分かります。大腸内視鏡は大変だと言うことを多くの方がご存知です。しかし消化器の専門医として再度の検便の依頼を受けることはありません。前述のように便潜血は大腸がんの可能性が高い人を選び出している検査であって、診断しているわけではないのです。便の状態は日々変わっていると思います。ある時はがんから出血していても、ある時は出血していないかも知れないのです。残念なことにこのような不確実な状態で放置している人が多いために日本の大腸がんの死亡数は上昇の一途をたどっています。大腸がんはきちんと毎年の便潜血検査を受け、陽性の場合にきちんと大腸の精密検査を受けて頂ければ、多くの方は救命できる疾患です。便潜血陽性となった方に対して専門医の一人として私にできる事は、できるだけ苦痛が少なく大腸をきちんと調べて差し上げる事 こう信じて診療しております。