大腸がん

大腸がん

大腸がんとは

1.1病態と症状

大腸がんは早期の場合、ほとんど自覚症状がありません。何ららかの症状が見られるようになると、ある程度進行しているものと考えられます。
大腸がんが進行してくると、粘膜の表面に潰瘍を作るため出血します。すると、便が大腸を通過するときに擦られることで便に血液が付着するため、便潜血が陽性(目に見える血液が無くても、便の中には血液が混じっている状態)となります。さらに進行すると、血液が排泄されていることが分かるようになり、下血や血便、粘膜便(便に血液や粘膜が混じった状態)となって現れます。
また、大腸がんにより腸管が狭くなるため便の通りが悪くなりって便秘や腹部膨満感、残便感、下痢、便が細くなる便柱狭小といった便通異常を繰り返します。
さらに症状が進むと、腹痛や貧血、腹部のしこり、腸閉塞などの症状が現れます。腸閉塞は、腸の内腔ががんにより塞がれ腸内の食べ物や消化液、ガスなどが通らなくなくなる状態で、腹部が張り、吐き気やおう吐、腹痛などを引き起こします。腸閉塞は放置すると腸が壊死し、腹膜炎を併発するなど危険な状態になることもあるため、注意が必要です。
これらの症状の起こり方や程度は、がんの発生部位や進行度によって差があり、また大腸がん特有の症状ではなくがん以外の病気でも起こります。また、大腸がんは進行するに従い、周辺のリンパ節や離れた臓器である肝臓や肺などに転移をします。

1.2種類と原因

大腸がんの発生場所は結腸、直腸、肛門です。結腸はさらに盲腸、上行結腸、横行結腸、S状結腸に分かれますが、日本人に比較的発生率が高いのは、S状結腸と直腸であるといわれています。
大腸がんの発生には、良性のポリープが発がん刺激を受けてがんになるルートと、正常な細胞から直接がんが発生するルートがあります。すべての大腸がんのうち前者のルートが9割程度を占めていると考えられています。このため大腸ポリープを切除することで将来の大腸がんを減らせることが明らかになっています。
大腸がんの原因は、食事生活やライフスタイルなどの環境因子の関りが大きいと考えられ、運動不足や肥満、食生活の欧米化による加工肉の過剰摂取などが指摘されています。

1.3罹患率

国立がん研究センターの調べでは、2015年に新たに大腸がんを発症した人の数(罹患数)は男女合わせて176,818人で、全がんのトップとなっています。死亡者数では2017年で男女計50,681人、男性では肺がんと胃がんに次いで3位、女性では1位でした。全がんの中の罹患率も、増加傾向にあります。
大腸がんで死亡する確率をみてみると、男性では33人に1人、女性では44人に1人となり、日本では大腸がんになる人がいかに多いかがわかります。がんの罹患率は高齢者が多いほど高くなりますが、大腸がんにおいては75歳未満の罹患率も増えており、死亡率も下がっていないことから若い世代でも大腸がんは増加傾向にあるといえます。
大腸がんは早期に発見されて治療を行えば治る確率の高い病気です。後悔しないためにも、大腸がんを早い段階で見つけられるように定期的に大腸がん検診を受けるようにしましょう。

2.大腸がんの検査

2.1検査方法と検査結果から考えられることは

早期大腸がんでは自覚症状はほとんどありません。がん検診や人間ドックでは一般的に、便潜血検査が行われます。
便潜血検査とは、大腸がんを早期に発見することを目的として行われており、専用の容器に便を採取して提出するだけの、安価で簡単で苦痛の少ない検査です。大腸がんの多くはこの便潜血検査が陽性となったことをきっかけとして発見されています。
しかし、実は便潜血検査はあまり精度の高い検査ではありません。大腸がん以外の腸の病気や痔疾患の場合も便潜血陽性となります。また全く異常がない方が便潜血陽性となる場合もあります。しかし便潜血陽性となった方のうち約3%に進行大腸がんが見つかります。またその他治療を要する疾患が約20%の確率で見つかります。この確率は一般の確率よりかなり高くなっています。便潜血が陽性となった場合、大腸がんではない、痔かその他の原因だろうと決めつけず、精密検査を受けることが大切です。

当院では次の検査を受けて頂くことができます。

大腸内視鏡検査

最新の大腸内視鏡機器を使用し、大腸の粘膜を内側から観察します。特殊光観察や拡大観察や二酸化炭素送気など、最新の内視鏡技術を搭載しているため精度が高く、苦痛の少ない検査を行うことができます。腸の粘膜を直接見ることができるため、5mmほどの小さながんを発見することができます。また、発見したポリープや大腸がんはその場で切除することも可能で、日帰り手術となります。
下剤は院内で飲んでいただくため、初めての方も安心して受けて頂くことができます。下剤を飲む部屋は個室となっており、専用のトイレ、テレビ、ソファを設置しており少しでも快適に下剤を飲んでいただけるようになっています。検査に慣れている方は自宅で下剤を飲んでいただき、検査時間に合わせて来院して頂くこともできます。また、採取した病変は病理検査を行い、切除から約10日後に経過確認診察と合わせて病理結果の説明をさせていただきます。

大腸CT検査

肛門から細いカテーテルを5cm程度挿入し、二酸化炭素ガスを送気して大腸を膨らませます。その後CT装置で大腸を撮影します。大腸内視鏡検査では下剤を2リットル内服していただきますが大腸CT検査では下剤は125ccととても少なくてすみます。検査時間も10~15分程度です。内視鏡を挿入することはないので、心理的な負担が少なく身体的な苦痛も少ないという特徴があります。
体への負担が少ない検査のため、高齢の方や大腸に癒着がある方など、大腸内視鏡検査が難しい方におすすめです。
検査に対して不明な点や不安に思うことは、担当医や看護師に遠慮なくご相談下さい。当院では患者様に寄り添い、苦しさや痛みが極力発生しない検査を心がけています。

3.大腸がんの治療

3.1重症度に合わせた治療

大腸がんの治療は、早期がんと進行がんで異なります。
早期がんの多くは、内視鏡を用いて切除することができます。しかし、大腸がんは自覚症状が現れにくいため、発見が遅れると大腸の奥深くに入り込んだり、さまざまな場所へ転移が生じたりしてしまいます。このように症状が進行してしまうと、内視鏡だけでも治療は難しくなってしまいます。
大腸がんの検診の受診率(全国平均)は、年々増加傾向にあるとはいえまだまだ低く、2016年では男性で44.5%、女性で38.5%にとどまっています。自分の健康を自分で守るためにも、定期的にがん検診を受けるようにしましょう。
がんは放っておくとどんどん成長してしまいます。がんと診断されてから5年後まで生存している人の割合を5年生存率といいますが、大腸がんはがんの進行度が高いほど5年生存率が低くなります。早期であるステージⅠでは5年生存率が97.6%なのに対して、遠隔転移が見られるステージⅣでは20.2%です。ごく早期でしっかり治療ができればほとんどの人は5年後も生存できますが、かなり進行してからから治療をしても5人に1人くらいしか5年後までは生きられないということです。がんは、早期発見、早期治療に勝るものはないのです。
特に大腸がんは早期に発見することができれば、身体的な負担も少ない内視鏡での切除が可能な病気です。内視鏡治療では大腸内に内視鏡を挿入し、先端の穴から器具を使って大腸の内側からがんを切除することができます。大腸の粘膜は感覚神経がないため、痛みを感じることはほとんどありません。しかし、出血などの危険性はありますので、治療前には患者様が納得されるまで説明を行い、十分にご理解をいただけた上で治療をおこないます。

大腸がんの治療は、当院で行える内視鏡的治療の他にも、手術や放射線、抗がん剤治療などがあります。このような治療法は科学的な根拠に基づいて、現在ではもっとも安全性や有効性の高い治療方針が定められています。
当院では治療方針をご提案するだけではなく、患者様の年齢や持病、体調などを十分に考慮した上で、実際の治療を提供できる専門医をご紹介させて頂きます。治療方針は基本的に医師がご提案させていただくものではありますが、患者さまの考え方やご意見も、とても大切です。
治療方法はより良い人生を決めるためのもので、何を目指して治療を行うのか目標を明確にすることが重要です。患者様が安心して治療に取り組める環境がつくれるよう、当院では患者様をしっかりと支援させていただきます。