過敏性腸症候群

このような症状でお困りですか?

  • 原因のよくわからない下痢
  • 下痢と便秘を繰り返してしまう
  • 急に下痢になることが多い
  • ストレスが下痢や便秘に影響している気がする
  • 上記のような症状が2週間以上続くことがある

このような症状でお困りですか?

下痢や便秘はよくある症状ですが、上記のような下痢や便秘は過敏性腸症候群(IBS)と呼ばれる消化器疾患の代表的な症状です。過敏性腸症候群は年々患者数が増加しており、一般的になっている消化器疾患です。消化器クリニックで診察・治療が可能ですので、心配な方は診察を受けましょう。
 下痢や便秘はただの便通異常として捉えるのではなく、何かしらの消化器疾患のサインである可能性が高いです。便通異常は放置をせずに医師に相談することが大切にしてください。

過敏性腸症候群

1. 過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群とは「代表的な機能性腸疾患であり、腹痛あるいは腹部不快感とそれに関連する便通異常が慢性もしくは再発性に持続する状態」と定義されています。
一般の人の約10~15%にみられる、一般的には、女性の方が多いといわれています。罹患率の男女の割合を見てみると、男性と比較して女性の方が1.6倍ほど高く、加齢とともに低下する傾向にあります。また、年齢別にみてみると20代から30代に多いという特徴があります。小児でも発症することがあり、小学生の発症率は1.4%ほどですが、高校2~3年生になると9.2%まで増えてきます。成人の発症率に、成長とともに近づいていく傾向にあるといえます。
過敏性腸症候群の主な症状は、腹痛のほか便秘や下痢といった便通異常です。患者さんの約6割が、食後に腹痛を訴える傾向にあります。
過敏性腸症候群は4つの型に分類されます。これには「ブリストル便形状尺度」という評価スケールを用いますが、便の形状から「便秘型」、「下痢型」、「混合型」、「分類不能型」の4つのどれに当たるのかを判断します。
症状の現れ方は患者さんによって異なりますが、下痢と便秘が交互に起こる混合型のタイプが、最も多いといわれています。次いで便秘型、下痢型、分類不能という順で患者さんが多いという傾向があります。また、男性には下痢が起こりやすいのに対し、女性には便秘が起こりやすいようです。

過敏性腸症候群は以下の診断基準に従って診断します。これらの基準に当てはまる症状があるという方は、過敏性腸症候群の可能性を疑ってみましょう。

過敏性腸症候群の診断基準

繰り返す腹痛が最近3ヵ月の中で平均して1週間につき少なくとも1日以上を占め、下記の2項目以上の特徴を示す方。

  1. 排便に関連する
  2. 排便頻度の変化(増えたり減ったりする)に関連する
  3. 便の形状(外観)の変化(柔らかくなったり硬くなったりする)に関連する

少なくとも診断の6か月以上前に症状が出現し、最近3か月間は基準を満たす。

過敏性腸症候群の原因ははっきりしていませんが、主にストレスや内臓知覚過敏などが関係しているといわれています。
ストレスが原因の場合、ストレスが消化管の運動機能を障害することで症状が出現する、と考えられています。
内臓知覚過敏が原因の場合、腸管のわずかな刺激を傷みとして感じ取ってしまうことで、腹痛などの症状が出現すると考えられます。
過敏性腸症候群の原因ははっきりしていませんが、主にストレスや内臓知覚過敏などが関係しているといわれています。
ストレスが原因の場合、ストレスが消化管の運動機能を障害することで症状が出現する、と考えられています。
内臓知覚過敏が原因の場合、腸管のわずかな刺激を傷みとして感じ取ってしまうことで、腹痛などの症状が出現すると考えられます。

2. 過敏性腸症候群の検査

前述した診断基準に当てはまっていると、過敏性腸症候群と診断されることが多いようです。
しかし、他に腸の病気がないかを確認し、過敏性腸症候群であるという確定診断のために大腸内視鏡検査や大腸造影検査、便潜血検査を行うことがあります。
大腸内視鏡検査や大腸造影検査は全員が行うということではありませんが、次のような項目に当てはまる方は、検査の対象となります。

  • アラームサインとよばれる、発熱、関節痛、血便、6か月以内の予期せぬ3㎏以上の体重減少、異常な身体所見(腹部腫瘤の触知や血液の付着など)、夜間下痢、進行性の腹痛などの疾患が疑われるような症状が出ている方
  • 50歳以上の方
  • 過去に大腸の病気にかかったことのある方
  • ご家族が大腸の病気(炎症性腸疾患や大腸癌など)にかかったことのある方
  • 採血の異常(鉄欠乏性貧血、CRP上昇)

これらの項目にあてはまる方は、大腸疾患の危険因子があると判断されて、大腸内視鏡検査や大腸造影検査を行います。
アラームサインや危険因子がないという方はまず、血液検査、尿・便潜血検査を行い、ほかに病気が隠れていないかを確かめます。この際に異常値が見られた場合には、大腸内視鏡検査や大腸造影検査を行います。また、これらの検査結果や他の症状によって腹部超音波検査、腹部CT検査などを追加する場合もあります。
これらの検査に加えて、消化器症状や心理状態、生活の質(QOL)を評価する質問票を記入して頂き、総合的に過敏性腸症候群であるかどうかを評価していきます。

3. 過敏性腸症候群の治療

過敏性腸症候群の治療は患者さんが不快に思っている症状を改善することを目的 に、第一段階と第二段階に分けて行います。
第一段階で行う主な治療は、日常生活の改善と薬物療法です。

日常生活の改善

日常生活の改善とは、3度の食事をバランスよく食べ、しっかりと睡眠や休養をとり、ストレスをためないように生活に変えていくことです。特に食事においては、食事内容や食事習慣が過敏性腸症候群と関連しているということが分かっていますので、もっとも重要な治療方法の一つです。
当院では、食べる際にはゆっくりとよく噛んで食べ、暴飲暴食はしないこと、夜間に大食いをしないようにすることを指導します。
また、食事内容は炭水化物、脂質の多い食事、トウガラシなどの香辛料、コーヒー、アルコールによって症状が現れる方が多いといわれています。人によってはトウモロコシや小麦、玉ねぎ、豆類、牛乳、はちみつによって症状が出現する方もいます。当院では、このような「症状を誘発するような食事」を控えるよう、指導します。
しかし現在のところ、すべての過敏性腸症候群の患者さんに有効な食事療法はありません。例えばヨーグルトを食べた場合、症状が現れる人と、逆に症状が改善される人もいます。従って、1日の食事回数やその内容、食事時間などを細かく問診し、さらに、患者様ご自身が「これを食べたら症状が現れた」と自覚されている食材を回避する、といった食事指導が主流となります。また、食物アレルギーが関係しているという説もあることから、人によってはアレルギー食を除去するという方法も検討します。
運動もストレス軽減や便通を促すという観点から推奨されており、軽めの運動を継続して行うことが推奨されています。

薬物療法

日常生活の改善を行っても改善が見られないという場合には、薬物を使った治療を行うこともあります。最初に使用される薬には、いくつかの種類があります。

  • アラームサインとよばれる、発熱、関節痛、血便、6か月以内の予期せぬ3㎏以上の体重減少、異常な身体所見(腹部腫瘤の触知や血液の付着など)、夜間下痢、進行性の腹痛などの疾患が疑われるような症状が出ている方
  • 腸の運動を抑える効果のある消化管機能調節薬
  • プロバイオティクスと呼ばれるビフィズス菌や乳酸菌など生体にとって有用な菌を使ったお薬
  • 水分を吸収して便の水分バランスを整える効果のあるお薬
  • 下痢型の方にはセロトニン3受容体拮抗薬
  • 便秘型の方には便を軟らかくする粘膜上皮機能変容薬

どの種類のお薬が効果的であるのかは、医師の診察により決定します。これに加えて、下痢症状が辛いという方は下痢止め、便秘が辛いという方には屯用で下剤、腹痛が辛いという方は痛み止めなど、それぞれの症状に合った薬を処方します。

ここで改善がみられるようであれば、治療を終了します。しかし、改善が見られないという場合には次の段階の治療にうつっていくこととなります。 第二段階の治療では、さらに強い薬を使用した薬物療法に加え、心理面に着目した治療を行います。

第二段階での薬物療法

第二段階での薬物療法は、第一段階よりもやや強めのお薬を使用します。
下痢型に対しては、ロペラミド塩酸塩という第一段階よりも強めのお薬を選択します。
便秘型に対しては、腸の動きを活発にするセロトニン4受容体刺激薬を使用します。
この他にも漢方薬が有効であるということも分かっており、腹痛や便秘に対しては漢方薬を処方することもあります。また、過敏性腸症候群は食物アレルギーが関係しているという指摘もあることから、抗アレルギー薬が処方されることもあります。
さらにこの段階では心理面にも着目し、心理面に対する薬も処方されます。例えばうつ症状が強い場合には、腹痛を和らげる効果もある抗うつ薬を使用します。特に心理症状の一つである不安は過敏性腸症候群の方において高率に合併する症状でもあり、この不安が症状を悪化させる因子であるとも考えられているため、抗不安薬は多くのケースで処方します。抗不安薬は依存性の高い薬もあるため他の薬剤と組み合わせつつ、症状に合わせて適宜薬を変えて処方することになります。

心理療法

過敏性腸症候群の方で薬物療法による効果が見られないという場合では、心理療法で効果が見られるケースもあり、専門家による心理療法を受けることが推奨されています。 心理療法には、集団療法、認知行動療法、対人間関係療法、催眠療法、ストレスマネージメントリラクセーションがあります。これらの治療は効果が出るまで時間がかかり、心理療法を開始してから効果が出るまで数か月後(おおむね2~3か月後)とされています。即効性がないということもあり十分な研究がなされていないという現状もありますが、心理療法、特に催眠療法を行ったことで約6割の方で薬物療法が不要になり、約8割の方で病院への通院回数が大幅に減った、5年後も良い状態が持続しているという報告があります。このことから、過敏性腸症候群の治療法として有効であると考えられます。

過敏性腸症候群は、誤った理解により自分で自分を苦しめ、症状を悪化させているということもあります。下痢や便秘という辛い症状があり、日常生活に支障をきたしている一方で、生命にかかわるような悪い病気ではないこと、一生続く病気ではないということを理解し、正しい知識を持つことが大切です。

第一段階の治療と第二段階の治療を組み合わせつつ、4~8週間ほど治療を継続し、症状が改善されれば終了、改善されなければ継続となります。また、ストレスや心理的な要因がないにもかかわらず、薬の効果がなく症状が続く、あるいは悪化しているという場合には、他の病気であるという可能性もありますので、再度精密な検査を行うこともあります。

また、近年過敏性腸症候群の治療として代替医療を希望される方も多いようです。過敏性腸症候群の治療として挙げられる代替医療は、ペパーミントのアロマオイルを吸入することです。これは、腹痛の症状にしばし役立つことがあるといわれていますが、それ以外の代替医療で過敏性腸症候群の改善は見込まれません。代替医療に頼らずに医療機関を受診し、治療を受けることをおすすめします。 近年、過敏性腸症候群から潰瘍性大腸炎やクローン病へと移行する確率が高い、ということが報告されています。治療初期には見られなかった症状が見られた場合には、すぐに医師へ相談されることをおすすめします。

過敏性腸症候群の治療は当院へ

当院では消化器内科として消化器疾患の診察・治療を行っています。過敏性腸症候群はもちろん、些細な下痢や便秘でお困りの方でも丁寧に対応致します。ネット予約をしていただくことができれば、待ち時間が少なくスムーズに診察を受けていただくことができるので、是非ご利用ください。