痛風

痛風

1. 痛風とは

痛風とは、尿酸の血中濃度が高い状態、いわゆる高尿酸血症であることが原因で起こります。尿酸の結晶が関節に蓄積して沈着した結果、痛みや炎症が持続的に起こる病気です。
割合としては男性に多いことが特徴で、通常は中年期の男性と閉経後の女性に発生します。若い人では非常にまれであり、30歳より前に発症した場合は比較的重症となる場合が多いことが特徴です。

尿酸と痛風の関係

痛風を理解するためのキーワード、それは”尿酸”です。尿酸とはプリン体の代謝産物であり、肉や魚、豆腐などにも含まれ、特にモツ・干物・白子・うに・レバーなどの細胞の詰まった食品に多く含まれる栄養素です。プリン体の生理的役割はわかっていませんが、通常ならば代謝後には尿や便に混じって体外へ排出されます。
人の身体では1日約0.6gの尿酸が作られますが、この尿酸の産生量が多くなる、あるいは代謝の能力が低下してしまうと、体内に尿酸がたまってしまい、痛風になります。
尿酸値の基準値は、1dlの血液に対し男性3.7~7.0mg、女性2.5~7.0mgです。この値が7.0mg/dlを超えたのが、高尿酸血症という状態です。
この状態が長く続くと、関節の中で尿酸が固まって結晶となります。尿酸の結晶が関節の骨と骨の間(関節腔)に落下すると、白血球はこれを異物と捉えて攻撃します。これが、痛風の症状である「痛み」を発生させます。

痛風の原因

痛風は腎臓から尿酸を排出する機能が低下したり、暴飲・暴食、肥満、激しい運動などが原因になるとされています。
暴飲暴食については、特にプリン体を多く含む食事を多く食べることが痛風の原因となります。また、アルコールは尿酸の生成を促進し、腎臓の機能を妨げるため、症状が出やすくなる傾向にあります。
他にも遺伝や、細胞の急速な増殖・破壊を引き起こす病気や薬(白血病、リンパ腫、溶血性貧血などの病気、特定の抗がん剤など)、放射線療法の後で発症することもあります。

痛風の症状

痛風の主症状は、関節の腫れと痛みです。これを「痛風発作」といいます。
足の親指の付け根(第一中足趾節)に好発しますが、足関節、足の甲、アキレス腱のつけ根、膝関節など、下肢に多くみられ、歩行困難になることもあります。
痛風発作は1週間から10日で症状が消失し、次の発作までには無症状です。しかし、1年以内には症状をくり返します。痛みの間隔は次第に短くなっていくことが特徴です。
そのまま放置すると、尿酸塩を中心とした肉芽組織(痛風結節)が現れます。
痛風発作の間隔が短くなってくると、尿路結石など腎機能に問題が起こっている可能性も考えられます。尿路結石ができ腎機能が悪化すると、腎不全へと移行する可能性もあります。

2. 痛風の検査

痛風は血中の尿酸値が高いことと、痛風特有の臨床症状があれば、診断ができます。
痛風を確定させるための検査には、血液検査(尿酸値の確認)、尿検査、間節液の顕微鏡検査などがあります。
血液検査は、痛風の状態によって正確な値が出ないこともあるため、尿検査も併せて行います。病因が明らかな痛風においては,確定診断のために「顕微鏡検査」を行うことがあります。これは、痛風結節を切除する、もしくは痛む関節を針で刺して液体を抜き、顕微鏡で詳しく調べる検査です。
関節の状態を見るためのレントゲン検査や、関節への尿酸の沈着の有無を見るための超音波ケ検査を行うこともありますが、これはあくまで他疾患との鑑別のために用いられ、痛風の確定診断などには利用されません。

痛風の可能性を知る

以下の項目にあてはまるものが多い方は、痛風である可能性が高くなります。

  • 痛みのピークは、症状が出てから1日以内であることが多い
  • この症状は初めてではない
  • 痛みが出るのは、関節であることが多い
  • 赤く腫れている関節、痛みのある関節がある(親指の付け根、足首の周りなど)
  • 特に、足の親指の付け根の関節に、激痛や腫れがある
  • 血液検査で尿酸値が高いといわれた

痛風の症状はリウマチと状態が似ているため医療者でも誤診してしまうこともあるようです。ですので、素人判断は絶対にしてはならず、明らかな痛風発作が見られる場合には早急に医療機関を受診されることをおすすめします。

3. 痛風の治療

かつての痛風の治療は、確実な治療法は確立されておらず、多くの場合で痛風発症後に痛風腎から尿毒症に進展し、それによって命へ危険を及ぼす病気でした。
現在は、治療法が確立されたことにより、痛風の合併症での死亡者数は減少しました。しかし、痛風を早く発見できるかどうかは現在でも生命予後を左右する因子となっています。
痛風の治療は主に日常生活の改善と内服薬で行われます。

日常生活の改善

痛風の原因は、高い尿酸値と肥満です。特に内臓脂肪の蓄積は、痛風の大きな原因にもなりますので、肥満状態を是正することも痛風の治療の一つの方法です。肥満の改善と痛風の治療を兼ねて日常生活の改善を行います。

特に痛風の治療として注目されるのは食事です。
菜食を主とし、アルコール類・果糖・プリン体を取り過ぎないように注意し、規則正しくバランスの取れた食生活を意識します。乳製品、コーヒーやビタミンCなどは痛風の発症を抑える作用があります。さらにアルコール(特にビール)はプリン体を増加させる可能性がありますので、普段の食生活でもアルコール類は控えます。アルコールを摂取した時は、尿酸を早く体外へ排出できるように水分摂取量を増やすようにします。プリン体を体外に出すためには、1日2Lほどの水分摂取が推奨されますが、心疾患、腎疾患などで水分量に制限がある方は、アルコールと水分をたくさん摂ることはできません。自己判断では行わず必ず医師に相談するようにしましょう。

また、食事に加えて取り入れるのが運動習慣です。無酸素運動(腕立てや腹筋、短距離走など)は、尿酸値を上昇させると考えられています。筋力増加や瞬発力を必要とする無酸素運動ではなく、ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を、無理なく毎日行うようにしましょう。

内服薬

痛風発作を起こしたことがある、あるいは起こしている時や尿酸値が9.0mg/dl以上である場合は、内服薬での治療が必要となります。特に痛風結節炎を引き起こすほど症状が悪化している場合は、内服薬による治療(薬物療法)が必要です。
まず痛風発作による痛みが出た時には、NSAIDという消炎鎮痛薬(ステロイド成分の無い消炎鎮痛薬)を使用します。短期間に多めに使用することで、炎症を鎮静化させることができます(ただし、お薬の種類と患者様によって、上限の量は違います)。
このNSAIDSを使用しても効果が見られないという場合には内服薬の副腎皮質ステロイド薬を使用することもあります。
また、局所麻酔剤入ステロイドを関節内に直接注入することも、痛みの軽減には効果的です。

尿酸値を下げる効果が期待できるお薬(尿酸生成抑制薬、尿酸排泄促進薬)を使用することもあります。痛みが現れる前には、前兆ともいえる変化がみられることがあり、そのタイミングを見極めて、服用するお薬を変えることもあります。
一般的に血清尿酸値を6.0mg/dL未満に維持することができれば、痛風発作を再発させないようにコントロールできます。
さらに、痛風結節が自壊(自然に壊れていくこと)して感染を起こしたり、神経を圧迫したりする場合には、結節を取り除く手術が必要となることもあります。